今年も行います！T-POP・タイポップ・タイポップス 2023年の個人的まとめ！全5回の第2本目。1本目 (#1~10) はこちら
【目次】
- 2023年のまとめ、分類について (5種, 計50曲)
- 勢いを感じた楽曲10選
- (11) from 'My School President'
- (12) DIDIxDADA - จังหวะตกหลุมรัก (Magic Moment)
- (13) THI-O & TUTOR
- (14) ParkMalody - วาสนาผู้ใด
- (15) Ponchet feat. VARINZ - พี่ชอบหนูที่สุดเลย
- (16) 4EVE - Life Boy (พูดไปก็ไลฟ์บอย)
- (17) FLI:P - มองนานๆ
- (18) 2Ectacy - Beside Me
- (19) EURO - Lipstick
- (20) ARMOR - Fall in love
- 20/50組 おわり！
2023年のまとめ、分類について (5種, 計50曲)
いつも読んでいただきありがとうございます。昨年と同じ全50アーティストという枠組みのなかで、今年は下記構成で勝手に推させていただきました。
- 今年を象徴する10組 (#1~10)
- 勢いを感じた楽曲10選 (#11~20)
- 人気だった20組 (#21~40)
- T-POP で5組 (#41~45)
- 個人的に印象的だった5曲 (#45~50)
色々な前置きは前回 (#1~10) で語ったので、本記事では「勢いを感じた楽曲10選」(#11~20) を早速発表していきます！
勢いを感じた楽曲10選
(11) from 'My School President'
まずは、2023年のタイドラマを語る上では外せないこの作品から。
2022年末の放送開始から2023年上半期にかけて大きな話題となりました。タイを舞台に、純粋無垢な男子高校生たちが繰り広げる、音楽系ラブコメディ『My School President』。
アーティストではないにも関わらずなぜ取り上げたのかというと、このドラマで使用された楽曲が大きくヒットしたから。しかも、その戦略が非常に巧みだからです。
このドラマの主人公はバンドのボーカルという設定なのですが、重要なシーンで必ず歌謡曲が流れます。その数はなんとシリーズ累計で全17曲！カバー・オリジナルの両方がありますが、その全てを演者が歌っています。
どれだけこのドラマが音楽を重視しているかがお分かりいただけたでしょうか。
そして注目すべきは、ほぼ全てのカバー曲が GMMTV の親会社でありタイ最大のメディアエンターテインメント企業・GMM Grammy (จีเอ็มเอ็ม แกรมมี่) 系列で権利を保有する楽曲である、ということです。
2020年のドラマ『2gether the Series』の大ヒットから得た知見を活かし、GMMエコシステム内におけるシナジー効果を最大限に高めている印象です。
流れとしては以下のような感じでしょうか。
- 2gether のヒットでタイで長く活動するバンド・Scrubb が脚光を浴び、国内外ともに人気を集めた。
- しかし、Scrubb は2020年当時、インディーズで活動していたバンド。彼らが自社の所属だったら……と、タイ最大のメディアエンターテインメント企業・GMM Grammy (จีเอ็มเอ็ม แกรมมี่) ＆ GMMTV は感じた (かも)。
- さらに、2gether の成功後のメディア展開において、海外におけるショービジネスが有望なことが分かります (でないとこれほど多くの俳優が多くの回数日本に来ません。笑)。なおさら、自社で楽曲を用意するメリットが高まった。
- そこから考えられるのが、音楽が重要な役割を担うドラマ。
音楽はドラマの盛り上げ役にとどまらず、グループ企業が権利を持つ楽曲を使用したり自社でオリジナル曲を用意することで、企業グループ内でのシナジー効果を得られる。さらに、ショービジネスへの展開も期待できる。
これを見事に具現化したのが My School President であると言えるでしょう。
そして、その後のファンミーティング (ライブイベント) の展開も流れるように開催。全2日間のタイ公演を皮切りに、日本は東京と大阪、カンボジア、シンガポール、台湾、フィリピン、香港、ベトナム、韓国、マカオとまるでアジア圏を舐め尽くすかのよう。しかもこれ、ドラマの楽曲が多い上に殆どが自社グループで権利を持っているから、ほぼ丸々自社の利益に還元できるんですよね。強すぎる！
ドラマで使用されたことがきっかけとなり、数々のオリジナル曲がチャートを逆走。特に、タイで人気のある2つのバンド・Tilly Birds の『เพื่อนเล่นไม่เล่นเพื่อน (Just Being Friendly)』、Three Man Down の『ข้างกัน (City)』はチャート上位に再び食い込む勢いを見せました。
GMMTV、ひいてはGMMグループの戦略は大成功を収めたと言っても過言ではないでしょう！
(12) DIDIxDADA - จังหวะตกหลุมรัก (Magic Moment)
曲 名：จังหวะตกหลุมรัก (Magic Moment)
読み方：じゃんわっとkるmらっk
邦 訳：恋に落ちるタイミング
歌手名：DIDIxDADA
発表日：2023年03月17日
"勢いを感じた楽曲10選" 2曲目は、若者世代に人気のユニット「Bamm」や T-POP 女性アイドルの先駆者的存在の「PiXXiE」が所属する音楽レーベル LIT Entertaiment から2023年デビューした女性2人組の1st Single。DIDIxDADA (ディーディーダーダー / ดีดี้, ดาด้า) で『จังหวะตกหลุมรัก (Magic Moment)』(じゃんわっとkるmらっk / 恋に落ちるタイミング)。
運命の人と出会ってビビッときたその一瞬を、丁寧に選ばれた言葉で紡ぎます。
そして何と言っても特筆すべきは、2人が一卵性の双子であるということ。さらに、外見が良いだけではなく、可愛い歌声とのギャップを感じる表現力。異世界に連れて行ってくれるような独特な魅力がありますよね。
MVの再生回数は2500万回、Spotify におけるストリーミング回数は2000万回超え。約半年にわたりタイ TOP50 チャートにランクインし続けるロングヒットとなりました。
(13) THI-O & TUTOR
曲 名：CALL CENTER
歌手名：THI-O & TUTOR
発表日：2023年10月05日
推したい楽曲3曲目は、サバイバル番組から生まれた男性デュオ THI-O & TUTOR (タイオー&チューター) の 3rd Degital Single『CALL CENTER』。
メジャーデビュー曲『MOVE ON』のリリースは今年の3月、まだ高校生という若さ溢れる2名ですが、その実力は折り紙付き。数々の音楽フェスへの出演が予定されています。ちなみに、黒髪ベビーフェイスが THI-O、金髪が似合うのが TUTOR です。
1st、2nd と実力を遺憾なく発揮するような情熱的な楽曲が続きましたが、3rd で少し異なるテイストでカムバック。脈のない恋にいじける気持ちを描いた、チルでソフィスティケイテッドなネオシンセ R&B ポップ。こういうのが聴きたかったのぢゃﾜｼは！
そして特筆すべきは、彼らがプロデューサーでもあるということ！(クレジットより) 才能があるのはもちろん、彼らはただのダンサーあるいはシンガーではないということの証明。今後の活動も鬼楽しみ！
(14) ParkMalody - วาสนาผู้ใด
曲 名：วาสนาผู้ใด
読み方：わーっさなーぷーだい
邦 訳：運がいいのは誰？
歌手名：Parkmalody
発表日：2023年10月10日
SNSで人気に火がつきました！推したい楽曲4曲目は、タイのシンガーソングライター・Parkmalody で『วาสนาผู้ใด』(わーっさなーぷーだい / 運がいいのは誰？)。
公開から2ヶ月で3000万回再生を達成するという人気っぷり。その秘訣は、聴きやすい歌声と、キュートさと上品さを兼ね備えた2023年ならではの T-POP アレンジにありそう。
また、コメント欄を拝見する限りでは東南アジア諸国で人気の模様。タイポップスも、曲によっては日本人のコメントが散見されるものもあるのですが、この曲調は東南アジアに好まれるのかな。皆さんはいかがですか？
(15) Ponchet feat. VARINZ - พี่ชอบหนูที่สุดเลย
曲 名：พี่ชอบหนูที่สุดเลย
読み方：ぴーちょーpぬーてぃーすっtるーい
邦 訳：ピー(筆者注: 年上の一人称)は君のことが一番好きだ
歌手名：PONCHET feat. VARINZ
発表日：2023年11月02日
推したい楽曲5曲目は、純度100%のピュアなラブソング！PONCHET feat. VARINZ で『พี่ชอบหนูที่สุดเลย』(ぴーちょーpぬーてぃーすっtるーい / ピー(筆者注: 年上の一人称)は君のことが一番好きだ)。
知ってる人も多いかな？11月末頃は何回スクロールしてもこの曲が連続して出てくるくらいタイ人の TikTok で使われてました（笑）ちなみにこの曲は日本語のコメントある！韓国語も複数ある！英語バージョン出したら日本でも売れそう (勝手ながら)！
程よくキャッチーで軽快なサウンドがとても心地よい一曲。
「今夜君がいないと眠れない」
「ちょっと電話してもいい」
「時間があるのはいつだろう」
「君がいなくて寂しい」
「君が一番恋しい」
と、日常の中で何気なく感じている感情を詳細に言語化するという目の付け所がスマート。アーティストのセンスが光っております。
記事執筆時点でMVは1000万回再生を記録、Spotify タイランドデイリーチャートで TOP10 に入っています。
(16) 4EVE - Life Boy (พูดไปก็ไลฟ์บอย)
曲 名：Life Boy (พูดไปก็ไลฟ์บอย)
読み方：ぷーっtぱぃごーらいfぼーぃ
邦 訳：と言うのはライフボーイ
歌手名：4EVE
発表日：2023年05月04日
T-POP を紛れもなく代表するタイのダンス&ボーカルグループ・4EVE。今年のリリースのなかで最もヒットしたのは『หยดน้ำตา (TEARS)』ですが、日本人の私としてはこちらを推したい。『Life Boy (พูดไปก็ไลฟ์บอย)』(ぷーっtぱぃごーらいfぼーぃ / と言うのはライフボーイ)。
構成がまじで狂ってる、編曲もシンプルでありながら複雑でさながらパズルゲームのよう、聴く人を混沌へと陥れる。長くなるので詳しくは以前の紹介記事へと譲りますが、これを堂々とシングルカットした 4EVE はマジで格好いい。どんどん楽曲がシンプルかつ短尺になるという最近の世界的な音楽トレンドに一石を投じた感もあり。結局 4EVE しか勝たん (言い回し古し)
ちなみに今年の5月に東京・代々木公園で行われたタイ・フェスティバルに出演してくれていました！オーラがすごい。
(17) FLI:P - มองนานๆ
曲 名：มองนานๆ
読み方：もーんなーんなーん
邦 訳：長く見つめて
歌手名：FLI:P (Original song by Vitamin A)
発表日：2023年04月08日
90年代カバーが SNS で流行！2023年デビューのタイの男女混合3人組ダンス＆ボーカルユニット・FLI:P (ฟลิป / フリッp) で『มองนานๆ』(もーんなーんなーん / 長く見つめて)。
一度聴いたら忘れられないメロディーとキャッチーなダンスで人々のハートをがっちりキャッチ。MVの再生回数は3000万回を越えています。たしか6月か7月頃にはバイラルチャートで1位に輝いていたはず。
"この曲聴いてくださいよ！とにかく元気で明るくて心踊りませんか！？" とか以前の記事で書いてたら心どころじゃなくて普通に体ごと踊りだす人が続出しました。そもそも踊ろうとしなかった筆者は陰ｷｬでした……。
(18) 2Ectacy - Beside Me
曲 名：Beside Me (feat. Kennocha)
歌手名：2Ectasy
発表日：2023年04月06日
勢いを感じた10曲、最後の3つはインディーズシーンから。まずは、ソロで活動するタイのシンガーソングライター・2Ectasy で『Beside Me (feat. Kennocha)』。
センス爆発してますよねこの曲！
あえてシンプルな音色のストリングスやピチカートが00'sリバイバル風味。そこにリバーブを強めにかけて複雑な動きをするエレクトリックピアノが合わさることで、タンサマイ (ทันสมัย / モダンな) な楽曲に仕上がっています。抜け感のあるボーカルと音作りも今っぽい。めちゃおしゃれ。
この曲でタイのバイラルチャート1位を獲得した 2Ectasy。Featuring を務めたシングル・Mind の『Stay Around Me』でも再び1位に輝いています。いま本当に勢いのあるアーティスト。
(19) EURO - Lipstick
曲 名：Lipstick
歌手名：EURO
発表日：2023年08月05日
タイで EURO といえば
このお菓子だったのですが、そんな私のイメージが一新されました！(変な導入) タイの男性ソロアーティスト・EURO で『Lipstick』。
この曲も先述の 2Ectasy『Beside Me (feat. Kennocha)』に負けず劣らず大変にセンスが爆発しておりまして、イントロからその繊細さと発想の奇抜さ、さらにはそれをまとめ上げる音楽的技術の高さも伺える能力の高いミュージシャンです。聴いてみて！
詳細は過去の紹介記事に譲ることにして、The Toys のようにプロデューサーとしても活躍しそうな将来が楽しみな彼が "勢いを感じた楽曲" 9つめでした。
(20) ARMOR - Fall in love
曲 名：Fall in love
歌手名：ARMOR
発表日：2023年06月04日
"勢いを感じた楽曲" 最後の10曲目は、タイの男性ミュージシャン・ARMOR で『Fall in love』。
なんとデビューシングルながらバイラルチャート1位を獲得、MV (Visualizer) の再生回数は半年で1800万回を記録中。
ちなみに先述の 2Ectasy と ARMOR が所属しているのが、「Groove Lab (TH)」という音楽企画事務所。曲の良さが大前提としてありますが、次々とヒット作を生み出すところがなかなかのやり手です。
タイにおけるチルポップの勢いはさらに加速する予感がします。
20/50組 おわり！
いやーどの曲も本当にアツかった！
楽曲として個人的に特に好きなのは EURO の『Lipstick』、THI-O & TUTOR『CALL CENTER』、4EVE の 『Life Boy (พูดไปก็ไลฟ์บอย)』(ぷーっtぱぃごーらいfぼーぃ / と言うのはライフボーイ)。皆さんの知っている曲はありましたか？
次回は「3. 人気だった20組・前篇」でお送りする予定です。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました！
今後も引き続き、ホットな T-POP・タイポップス情報をトムヤム視点でお届けしていきます。
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