今週いい曲多すぎたｧ！直近一週間で気になったタイポップ／T-POP を紹介し、タイの音楽の今を捉えるコーナー。第62回目。 (Cover: Billkin)
紹介した曲は以下のプレイレストでもお聴きになれます。
前回の記事はこちら 。
【目次】
- 1. PERSES - คนใกล้ที่คิดไกล (Far Too Close)
- 2. FOURTH - เทคะแนน (CANDIDATE) - FOURTH
- 3. pY-1 - กรรมการ Feat. PONCHET
- 4. BNK48 - Kiss Me! (ให้ฉันได้รู้)
- 5. Billkin - ก้าวก่าย
- [後記] うれしいお知らせ（個人的に）
1. PERSES - คนใกล้ที่คิดไกล (Far Too Close)
曲 名：คนใกล้ที่คิดไกล (Far Too Close)
読み方：こんぐらぃてぃーきっtぐらぃ
邦 訳：遠いと思っている近くにいる人
歌手名：PERSES
発表日：2024年02月14日
タイ最大手レコードレーベル・GMM Grammy 傘下のアイドルポップス専門レーベルからデビューした5人組ボーイズグループの新曲。PERSES で『คนใกล้ที่คิดไกล (Far Too Close)』(こんぐらぃてぃーきっtぐらぃ / 遠いと思っている近くにいる人)。
メリハリのある聴きやすいサウンド。エレピの音を尖らせすぎない音作りからは、タイのポップス界を長年にわたりリードしてきた GMM の伝統を感じます。1か月前にご紹介した PONCHET の『ใครพี่น้องเธอ (Jealous)』と比べると、その違いを感じられるはず。
GNEST 初のボーイズグループとして誕生した PERSES が今後どのような作品を見せてくれるかが楽しみです。
2. FOURTH - เทคะแนน (CANDIDATE) - FOURTH
曲 名：เทคะแนน (CANDIDATE)
読み方：てーかねーん
邦 訳：投票する (候補者)
歌手名：FOURTH
発表日：2024年02月20日
GMMTV の人気俳優が本格的に音楽活動をスタート！FOURTH で『เทคะแนน (CANDIDATE)』(てーかねーん / 投票する (候補者))。
通称 FOURTH こと Fourth Nattawat さんは、2022〜23年にかけて放送されたタイドラマ『My School President』の主演をきっかけにブレイクした俳優。
R&Bがベースでありながら瑞々しい音色のシンセが印象的。ちょっと前まで少年だったのにいつの間にか大人な雰囲気を漂わせる、現在19歳の FOURTH さんの魅力が際立ちます。
レーベルは「RISER MUSIC」。GMMTV から誕生した初のボーイズグループ「LYKN」(ライケーン) のほか、GMMTV の俳優が音楽活動をする際に活用されています。
最大のヒット作は、FOURTH さんと同じくGMMTV所属俳優 KRIST さんの『เจ็บเมื่อไหร่ (CALL ME)』(ブログにて紹介↓)。MVは1000万回再生を数えます。電話のハンドサインをしながらボディウェーブするダンスが流行しました。
今回の FOURTH さんの楽曲も、キャッチーなメロディーとダンスから TikTok への意識が伺えます。タイは TikTok 大国ですからね。というか FOURTH さん、こんなにダンス踊れるの知らなくてフィードに流れてくるたびもはや笑えてくる。上手すぎる。
@risermusicth #CANDIDATE_DanceChallenge @Fourth #เพลงดังtiktok ♬ เทคะแนน (CANDIDATE) (Main) - โฟร์ท
3. pY-1 - กรรมการ Feat. PONCHET
曲 名：กรรมการ Feat. PONCHET
読み方：がんまがーん
邦 訳：審判
歌手名：pY-1
発表日：2024年01月30日
タイで支持されるインディペンデントシーンからの一曲。pY-1 で『กรรมการ Feat. PONCHET』(がんまがーん / 審判)。
pY-1 は2020年頃から音楽活動を始めたタイのシンガーソングライター。情報が少なく推測になりますが、現在でもレーベルに所属しない、インディペンデントなスタンスを貫いている模様。
タイには、デカいものに巻かれず自分で道を切り拓いていくさまが格好いいという考え方が若者を中心に広まっており、インディペンデントシーンが見ごたえあるものになっています。
Spotify バイラルチャートで1位を獲得したこの楽曲。相手のあまりの美しさにひれ伏すしかない、といった恋心のかたちを歌っています。中音域が豊かなエレキギターの音色がタイらしい。また、冒頭からハモリ全開のコーラスもシンプルな楽曲に充分な彩りを与えている印象。
フィーチャリング、また楽曲制作に関わっているのが、このブログでも度々紹介している「PONCHET」(1曲目でも紹介した)。
彼もまたインディペンデントシーンで活躍するアーティスト。洗練と新鮮さを兼ね備えた楽曲は TikTok を通じて世界中に広がり、日本の JAL も動画で使用。200万over の再生回数を叩き出しました。
@japanairlines_official 台本なしでみんなバンドマンになっちゃいました😅 #japanairlines #JAL #日本航空 #パイロット #CA #pilot #cabincrew ♬ พี่ชอบหนูที่สุดเลย (I Like You The Most) Feat.VARINZ - Speed Up Version - PONCHET
これからもタイのインディペンデントシーンから目が離せません。
4. BNK48 - Kiss Me! (ให้ฉันได้รู้)
曲 名：Kiss Me! (ให้ฉันได้รู้)
読み方：はぃしゃんだぃるー
邦 訳：私に知らせて
歌手名：BNK48
発表日：2024年02月22日
K-POPやT-POPは好きだけど48グループはノーマークな皆さんへ捧ぐ。タイのAKBグループが一皮向けてカムバック！BNK48 で『Kiss Me! (ให้ฉันได้รู้)』(はぃしゃんだぃるー / 私に知らせて)。
日本と同様にタイでも、K-POP がポップス界／アイドル界を席巻して久しい。BLACKPINK のリサを輩出したタイでは尚更。タイ・バンコクを拠点に活動する BNK48 も、一大ブームとなった2017年の『Koisuru Fortune Cookie』(恋するフォーチュンクッキー) をピークに、話題性は落ち着いてきたように感じます。
ただ、BNK48 はそんな状況下でも果敢に活動の道を模索してきました。
2020年には、Universal Music からダンスとボーカルに特化したユニット「LYRA」(のち、メンバーの変更を期に "VYRA" に改名) をデビューさせます。活動こそ2作にとどまりましたが、洗練されたビジュアルはもちろん、タイの方言や民族楽器を組み合わせたオリジナリティ溢れる音楽は、現在の T-POP の方向性を導いたエポックメイキングなグループだったと言えるでしょう。
(※ 別のレコードレーベルから「QRAA」が後継ユニットとして活動中)
また、2023年にはイサーン音楽に特化したユニット「eRAA」をデビュー。
(齋藤飛鳥似の美女がタイの田舎で踊り狂う『เด็กดื้อย์』(ﾃﾞｯkﾄﾞｩｰ / 頑固な子))
自身が築き上げてきた知名度や、容姿の優れたメンバーが多いという長所を活かしながら、差別化を図ったり時代に追いつこうとする試行錯誤が感じられます。決して大バズリはしなかったかもしれないけど、その方向で間違っていないと僕は思う。
そんな BNK48 のおよそ半年ぶりとなるオリジナルソングが『Kiss Me! (ให้ฉันได้รู้)』(はぃしゃんだぃるー / 私に知らせて)。
ブームになる前に2008年頃からAKBが好きで、その後 K-POP を通っていま T-POP に辿り着いた僕。大人数の合唱ソングを聴くことは少なくなったけど……これ、好き！！
「Baby, can u kiss me?」という英語詞から始まる楽曲は、生まれた場所に関係なく世界観を伝えます。自国語（タイ語）はA・Bメロのような、重要度が低い部分で使用。そして楽曲は短尺の3分。これ、完全に NewJeans の作りだ！
それでいて、16人が同時に歌う48グループならではの歌声は残している。K-POP と48サウンドの長所が最大限に両立された素晴らしい楽曲だと感じました！作詞はタイ人、作曲は韓国人と日本人が担当している模様。BNK48 のプロデューサーは未来志向ですね。
普段は男子グルの記載が多くて、分量に驚かせてしまったかも。でもそれくらい、今回の BNK48 の楽曲は特筆に値すると思います。
5. Billkin - ก้าวก่าย
曲 名：ก้าวก่าย
読み方：がーぅがーぃ
邦 訳：入り込む
歌手名：Billkin
発表日：2024年02月22日
本物の表現者。タイの俳優・歌手 Billkin の新曲『ก้าวก่าย』(がーぅがーぃ / 入り込む)。
Billkin (ビウキン) は1999年生まれのタイの俳優・歌手。
2021・22年のタイドラマ『I Told Sunset About You』シリーズで主演を務め、国境を越えて知名度を上げました。無骨さと繊細が同居する演技は、Billkin の右に出るものはいないのではないか、という言えるほど素晴らしく、観る人をハッとさせます。
(BLドラマの枠を越え、世界でも高く評価された青春群像劇。性別年代を問わずオススメ)
歌唱力にも定評があり、2021年から音楽活動を本格的にスタート。
2010年代後半の星野源さんを彷彿とさせる『I ไม่ O (IXO)』(アイマイオー) をリリースしたのち、
ウットリするような '80s 風シアトリカルバラード『ชอบตัวเองตอนอยู่กับเธอ (I Like Us)』で歌手としての人気を本物に。タイの芸能界に欠かせない存在になりました。
そんな Billkin の新曲『ก้าวก่าย』(がーぅがーぃ / 入り込む) 、恋人と別れたあとの辛さを歌います。
自分の人生に入り込んでいた彼女／彼がいなくなると、そこには空洞ができて、それを埋めにくるのはその人の記憶で。もうその人はそばにいないのに。
MV で主演をするのはもちろん Billkin なのですが、持ち前の演技力が素晴らしい……。素晴らしい歌、素晴らしい演技。アーティストよりも、表現者という言葉のほうがしっくりくるのは私だけでしょうか。
[後記] うれしいお知らせ（個人的に）
今週はいい曲多すぎて紹介しきれませんでした！来週も引き続き今週分の楽曲を紹介すると思います。
そして私事ですが、間もなく嬉しいご報告（個人的に）ができそうです！ドキドキ。
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今回も最後までお読みいただきありがとうございました！
今後も引き続き、ホットな T-POP・タイポップス情報をトムヤム視点でお届けしていきます。
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