
直近一週間で気になったT-POP/タイポップを、タイのカルチャーと共に紹介し、タイの音楽の今を捉えるコーナー。(Cover: Jaonaay)
紹介した曲は以下のプレイレストでもお聴きになれます。
【目次】
- 1. SuperThai - Run The Show
- 2. Wizzle - KILLA
- 3. BUS - BOSS IN THE BUILDING
- 4. LYKN - น้ำหยดลงหิน (DRIP)
- 5. Jaonaay - ติดเธอซะก่อน (Sweet Baby)
- [後記] 時代が大きく変化しつつある予感
1. SuperThai - Run The Show
曲 名:Run The Show
歌手名:SuperThai
発表日:2025年08月05日
中国のサバ番『Chuang Asia 2』出身ユニットが正式デビュー!SuperThai で『Run The Show』。
SuperThai (スーパータイ) は、2025年8月5日、シングル『Run The Show』で正式デビューを果たしたインディペンデントプロジェクト型4人組ボーイズグループ。
元々は番組のステージのために構成された企画ユニットで、当時は我らが THI-O (タイオー) と Dorn (ドーン) が参加していましたが、2名は「NexT1DE」としてデビュー。番組終了後、4名でユニットとして活動を継続することが決まったそうです。
公式SNSを解説したのが6月23日、そして開催2年でT-POPを代表する音楽フェスに成長しつつある〈MIXEDPOP BANGKOK 2025〉に出演したのが7月6日。かなりスピード感のある展開をしており、インディペンデントとはいえ運営体制が十分に整っていることを伺わせます。
そんな彼らのデビュー曲が『Run The Show』。
日本語では「ショーを仕切る」とか「主導権を握る」といった意味をもち、どんな舞台でも存在感を発揮していくといった期待と矜持が込められた楽曲になっています。
公開から1ヶ月で早くもMVが1億回再生を突破した BLACKPINK『JUMP』と、BPMがほぼ同じで、奇しくもリリース日もたったの1ヶ月違い。およそリリースの2ヶ月前には楽曲が完成していることを鑑みると、SuperThai の運営に選曲センスを感じるところです。
何よりグループ名がとても良いので。由来はシンプルで、メンバー全員がタイ人であることから。(発音がタイ語だと "スッパータイ" と歯切れよいところも地味に好きです)
才能あふれるタイ人4人組の今後の活躍に注目!
2. Wizzle - KILLA
曲 名:KILLA
歌手名:Wizzle
発表日:2025年08月05日
先日は SUMMER SONIC BANGKOK 2025 で同事務所の NEVONE、D-NA と出演を果たした BRIQ Entertainment 所属の5人組ガールズグループ・Wizzle。
今作『KILLA』は、3rd Single『โอน้อยออก (Truth or Dare)』から続く、ミドルハイテンポのダンスポップ。ビジュアル的にも画風が似た5名だからこそ、統一感のあるコレオや女豹のようなコンセプトが非常に映えます。
カット割りが増えてMVのクオリティが明らかに上がっている……!と思って過去作のMVを見返したら

3作目でも主演俳優が拘束されていました。拘束フェチ?
男性でも堂々と苛め抜くその姿勢にこの曲を捧げたいと思ったのですが
こちらでも拘束されてて(主演が)

拘束の連鎖が止まりません。。。
3. BUS - BOSS IN THE BUILDING
曲 名:BOSS IN THE BUILDING
歌手名:BUS
発表日:2025年07月09日
フルアルバムをリリース。BUS で『BOSS IN THE BUILDING』。
"in the building" とは、HIPHOP文化などで使われる表現で、
「(〇〇)が現れたぞ」
「その場を仕切っている」
のような意味。ラッパーが自分や仲間を紹介するときの決まり文句です。
つまり、楽曲タイトルの "BOSS IN THE BUILDING" は、「ボスが現れたゾォォォ」「この場を支配するぞ」といった意味が込められています。(本日1曲目のSuperThai『Run The Show』とメッセージはかなり近いですね)
2nd『WATCH YOUR STEP』の Khunpol (クンポン)
3rd『แค่ไหนแค่นั้น (NO MATTER WHAT)』の Marckris
のように、各シングルで1名ずつメンバーをフィーチャーしてきた BUS。
今回はリーダーとしても活躍する最年長・ALAN (02生) にスポットライトが当たっています。
とはいえ、やはり各メンバーの見せ場を忘れないのが BUS。
楽曲の短縮化が進む中、近年稀に見る〈4分30秒〉というボリューミーな長さになっています。ライブの盛り上がりやパフォーマンスにおける見せ場を重視した結果と言えるでしょう。音楽が主役ではなく、メンバーこそが主役なのです。
再生回数は約200万回ながら、タイコンビニ圧倒的シェア率No.1のセブンイレブンや、食品から化粧品まで数々の広告に起用される BUS。MV再生数とは違った場所=SNSで圧倒的な存在感を放つことが成功という、新たなアーティストの成功例を示しています。
4. LYKN - น้ำหยดลงหิน (DRIP)
曲 名:น้ำหยดลงหิน (DRIP)
読み方:なmよッtろんひん
邦 訳:雨垂れ石を穿つ
歌手名:LYKN
発表日:2025年07月04日
直訳すると「水滴が岩に落ちる」という意味のタイトルの今作は、
- 小さな努力でも続ければ大きな成果を生む
- 水滴でも長く落ち続ければ硬い岩を穿つ
ことを歌った楽曲。
プロデューサーは、ATLAS『Mr.Lonely』や2025年話題となったタイドラマ〈GELBOYS〉OST『LOVEGELS』等を担当したヒットメーカー・URBOYTJ が務めています。
LYKN は本当に精力的に活動していますね。。。
2025年にはいってからはおよそ2ヶ月に1回のペースでカムバックしております。
定期的なドラマ出演、あるいは9月13日はなんとアメリカ公演も控えているということで、どうかご自愛いただきつつ頑張ってくれたらなと思います。
5. Jaonaay - ติดเธอซะก่อน (Sweet Baby)
曲 名:ติดเธอซะก่อน (Sweet Baby)
読み方:てィッtたーさごーん
邦 訳:君に夢中になる前に
歌手名:Jaonaay
発表日:2025年07月17日
世界的ヒットの予感。Jaonaay で『ติดเธอซะก่อน (Sweet Baby)』(てィッtたーさごーん / 君に夢中になる前に)。
Jaonaay (ヂャオナーイ) こと (เจ้านาย จินเจษฎ์) は、2001年6月28日生まれ(記事執筆時で24歳)のタイの男性ソロ歌手、俳優。
1990年代〜2000年代初頭にかけてタイで圧倒的な人気を誇った男性ポップソロ歌手・J Jetrin を父に持ちます。
正直、僕はまだ生まれていない年代でもあるので、タイの大手エンタメWebメディア・Sanoo (サヌック) の記事*1を引用すると
・100万枚以上のセールスを記録(当時としては極めて異例)
・タイ国内で60以上のステージツアーを敢行
・アジア全域でのツアー経験
という人気っぷり。
私が覚えているのは、「死と誕生日が重なる」という切ない設定のもと、家族の愛や生と死の意味、そして癒しをテーマに描いた珠玉のヒューマンドラマ『Happy Birthday』(GMMTV/2018)。
この作品では、主人公の姉が熱心に好きだった歌手として J Jetrin が描かれ、重要なシーンでたびたび登場していました。
そんな大スターの子どもとして生まれた Jaonaay ですが、やはりタイの育ちのよい家庭出身。
バンコクの Ascot International School で初等教育を修了し
中学からイギリスの Millfield School に留学
そして現在は、ヨーロッパ最大の現代音楽専門学校とも評される、英国アイルランド現代音楽研究所(BIMM)で日々学んでいるということです。
そんな彼が約1年ぶりにリリースした完全オリジナルソングの今作『ติดเธอซะก่อน (Sweet Baby)』(てィッtたーさごーん / 君に夢中になる前に)、
実は今回は彼のキャリア上でも、そしてタイのポップソングシーンとしても、エポックメイキングな作品なのです。
MVの再生数は1億回を数える『คนละชั้น』(こんらちゃん / 違う場所) はほぼ全編タイ語、
『แปะหัวใจ』(ぺ ふゎぢゃぃ / 心をあげる) もせいぜいワンフレーズ程度の英語詞
(↑タイに来る前によく聴いていました、懐かしい)
であるように、Jaonaayのこれまでの作品はほとんどがタイ語を主としていました。
しかし、最新作『ติดเธอซะก่อน (Sweet Baby)』を聴いてみると、1番に至っては
Verse1 → 全編英語(100%)
Verse2 → 全編英語(100%)
Hook → タイ語:約40% / 英語:約60%
ということで、約7〜8割が英語詞。
Jaonaay のこれまでの作品群(基本はタイ語主体に英語をスパイス的に挟む)と比べて、圧倒的に英語の比率が高いことが分かるのです。
先ほど紹介したように、海外教育を受けてきた Jaonaay 自身のバックグラウンド(イギリス留学)と重なるだけでなく、
タイの大衆音楽市場は、依然としてタイ語歌詞の比重が圧倒的。
英語主体の楽曲は一部のインディーシーンや国際派アーティストで見られるものの、主流でヒットするのは稀です。
ましてや、英語を押し出したこの楽曲がYouTubeで1000万回再生を突破するのは、極めて注目すべき成果といえるでしょう。
結論として、この曲は Jaonaay個人にとっても、タイ音楽市場全体にとってもエポックメイキングな楽曲になったと言えるのではないでしょうか。
英語とタイ語を自在に行き来するスタイルで、Jaonaay はT-POPの新たな可能性を切り拓いていくことでしょう。
[後記] 時代が大きく変化しつつある予感
Jaonaay のヒットで、国内の音楽シーンのリスナーのプリファレンスの変化が可視化されるとともに、海外からのさらなる注目も集まりそうです。
ぜひ新しいアーティストにもたくさん注目してください!
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今回も最後までお読みいただきありがとうございました!
今後も引き続き、ホットな T-POP・タイポップス情報をトムヤム視点でお届けしていきます。
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