直近一週間で気になったタイポップ / T-POP を紹介します。15回目。
今週のテーマは、涙。
前回の記事はこちら。
【目次】
- 1. PERSES - Catch the Night
- 2. Paintbrush - Groovy Wonderland
- 3. 4EVE - หยดน้ำตา (Tears)
- 4. Billkin - ยิ้มทั้งน้ำตา
- 5. Newery - กลิ่นดอกไม้
- 総括: みんな3月に入った途端に新曲出しすぎだよ (前回の続き)
1. PERSES - Catch the Night
曲 名:Catch the Night
邦 訳:夜をつかめ
歌手名:PERSES
発表日:2023年03月08日
タイ最大手の音楽レーベル・GMM Grammy 傘下の GNEST から2022年にデビューした5人組男性 T-POP グループ・PERSES (パーセス) の3rdシングルは、今までよりも K-POP みの強い楽曲で勝負。約4か月ぶりの新曲『Catch the Night』。
私が一聴きして感じたのは、音が非常に洗練されている、ということ!
迫力がありながらもボーカルの存在は際立つ聴きやすい仕上がり。この緩急極まった洗練されたミキシングは相当ハイレベルな仕業であるとお見受けいたします。
また、歌詞における英語比率がかなり高く、タイ語で歌っているのがもはや分からないくらい。外国人が感じる「タイの曲らしさ」というのをかなり排除しようとする姿勢を感じます。
そして、PERSES あるいは GNEST の最終目標はもちろん世界だと思いますが、まず狙っているのは「韓国」かもしれません。なぜなら、用意されている字幕が「英語」「タイ語」「韓国語」の3つだからです。
韓国の音楽市場は日米と比較してかなり小さいため、資金集めが目的でないはず。
となれば、BTS という世界レベルのボーイズグループを生み出した韓国に「タイ人だけでもここまでやれる」ということを示したいのかもしれません。だとしても、認められる日は決して遠くないと筆者、思います。ファイティン&スースーナ、 PERSES!
2. Paintbrush - Groovy Wonderland
曲 名:Groovy Wonderland
歌手名:Paintbrush
発表日:2023年03月01日
アイドルなのにジャケ写に顔を載せていない!攻めてる!いいぞッッ!!!久しぶりに元女性アイドルヲタクだった血が騒ぎました。笑
厚みのあるドラムとベースのイントロで一気に引き込まれました。日本のシティポップを思い出す楽曲で、懐かしくも新しく好き……となりプロフィールを見たところ、納得。
彼女たち「Paintbrush」は、日本のアイドル文化に影響を受けたタイの女性グループ (J-POP / T-POP アイドル) なんだそう。
Indie-Pop (インディー・ポップ) の楽曲に日本語とタイ語の歌詞をのせるという唯一無二の手法で、グローバル進出を目指すんだとか!しかも、彼女たちも日本語・タイ語両方の作詞に携わるのだそう。すごい!面白い!
そのうえ、ストーリーがあるところがいい。
シングル毎に変化していく心情や、グループの解散を乗り越えたという境遇に思わず心が揺さぶられます。
一級で活躍できる音楽力と自己プロデュース力がある Paintbrush の皆さん。今後も追っていきたい!
……と、ここまで書いていたら新たな事実を発見。彼女たち、ハイセンスなタイのアイドルグループ・FEVER の元メンバーなのですか!(タイポップス探検家・山麓園太郎さんも様々な媒体でご紹介されていましたね)
しかもプロデューサーは、evening cinema のボーカル・原田さん!?だからこの素晴らしい仕上がりになっていたのですね……。単に筆者の勉強不足具合をさらしただけになりました。トホホ。
↑ evening cinema で有名な曲&好きな曲
どうぞ FEVER / Paintbrush ファンの皆さま、これからよろしくお願いいたします。密かに追わせていただきます。
3. 4EVE - หยดน้ำตา (Tears)
曲 名:หยดน้ำตา (Tears)
読み方:よっtなmたー
邦 訳:涙が滴る
歌手名:4EVE
発表日:2023年03月09日
さて、今週のテーマ「涙」に入ります。
4EVE の新曲『หยดน้ำตา (Tears)』は、彼女たちの歌唱力が光るバラード。
"よっt (หยด)" は「溢れる、流れる」、"なmたー (น้ำตา)" は「涙」という意味で、タイトルの邦訳は「涙が滴る」くらいに落ち着くでしょうか。
やむを得ず離ればなれになった2人。相手を忘れたことは一度たりともないほど恋しいのに、相手がどこにいるかも、どう思っているのかも分からない。それゆえ涙が止まらない、という苦しい恋心を歌った楽曲です。
しかし実は、リフレインの歌詞が微妙に変化しており、相手も同じように恋焦がれていることがコーラスの歌詞から分かるという、巧妙なアンサーソングに仕立て上げられています。手法が上手いなぁ!脱帽すると同時に、理解すると涙がちょちょぎれちゃいます。
MVの最後、俳優さんの目に突如特大黒カラコンが入ってびっくりしたのですが (多分違う)、
男性が宇宙人であるということを表現したのだと思ったのですが、いかがでしょうか。宇宙人ゆえ地球人の 4EVE とは結ばれない、でも宇宙人とは言えない、だから理由も言えずに別れざるを得ない、という解釈で筋通ってますかねぇ?
そして、この男性俳優さんにどこか見覚えがある私。
人懐っこい目、キュートな笑顔、アップノーズの綺麗な横顔は……
ハッ!2週間前の記事で「この俳優さん可愛くないですか?」と皆さんに喧伝紹介した Tony Anthony Buisseret (通称: トニー) さんではありませんか!!?
ちょまって、4EVEの新曲MVに出てる彼、Billkin x Zom Marie コラボ楽曲が主題歌の映画で主演してたTony Anthonyさんでは??? pic.twitter.com/qGHFxEJwmL
— トムヤム亜久津@タイドラマ&タイポップブログ (@tomyumakt) 2023年3月10日
(この記事↓)
まさか、4EVE のMVでお目にかかるとは……!こりゃ出世も早いぞ…… (謎感想)
↑ご本人のIGにも投稿がありました。
映画に引き続きスクーターに乗る Tony さん。
スクーターに乗せたくなる何かがあるんですよね、監督。分かります。風に靡かせたいんだよな、アントニーを……。スクーターが似合う俳優オブ・ザ・イヤー2023年を差し上げたい。私が某発動機企業の広報だったら間違いなくCM出演は彼にします……
おっと、相変わらず俳優さんの話題になるとよく喋るんだからこの人は!失礼いたしました。閑話休題。
YouTube の生配信でも余裕で7人でアカペラしている彼女たちなので、きっとステージ上でも余裕綽々で歌いこなしてくれることでしょう。ライブで聴いたら迫力凄いんだろうな〜。(生配信のアーカイブ探したのですがありませんでした!🙏)
4. Billkin - ยิ้มทั้งน้ำตา
曲 名:ยิ้มทั้งน้ำตา
読み方:いmたんなmたー
邦 訳:泣きながら微笑んで
歌手名:Billkin (ビウキン)
発表日:2023年03月09日
同日にリリースした新曲のタイトルに、両方とも「涙」が入っていた 4EVE と Billlkin。こんなこともあるんですね!そういうお日柄でしょうか?
Billkin の新曲『ยิ้มทั้งน้ำตา』は、相手との別れる辛い気持ちと涙を笑顔で隠す主人公の、切ない気持ちを歌った楽曲。Google センセイの翻訳を掲載しておきます。
『さよならを言わなければいけないのに 笑うよ…涙で』
せっ……切ないッッ!!!J-POP 的コード進行も相まって凄く壮大に、そして心に刺さります。何かのOSTになりそう。
5. Newery - กลิ่นดอกไม้
曲 名:กลิ่นดอกไม้
読み方:ぐりんどーkまぃ
邦 訳:花の匂い
歌手名:Newery
発表日:2019年08月21日
こちらは現在チャート逆走中の1曲。2019年から活動する男性ソロシンガーソングライター・Newery の『กลิ่นดอกไม้』。"กลิ่น" (ぐりん) は匂い、“ดอกไม้” (どーkまぃ) は花 という意味ですね。
なぜ逆走?と思ったら……2022年下半期に放送されたタイBLドラマ『I Will Knock You』の劇中で使われたのだそう!
昨年末に某レビューサイトを見たところ、評定点が星7と低めだったこともありスルーしていたのですが、シリーズが終了した現在の評価は星8.2。だいぶ盛り返しとる!ちょっと気になるな、観ようかな。もし見た方がいらっしゃいましたら教えて下さい!
いつも花の匂いを漂わせていた君。花の匂いがするといつも君を思い出す、という歌詞には共感しかない!わかるわぁ、嗅覚と記憶って凄く結びついてるんですよね。個人的には、旅先で買ってつけていた香水の香りを嗅ぐと、その土地の香りを思い出します。初めて訪れたタイで買った Butterfly Perfume のジャスミンの香水を久しぶりにつけると、今でも当時の記憶や感情が蘇ります。
心にしっとりと残る曲。長く愛してしまう予感。そしてデビュー曲が3年の時を経て評価された Newery さん、おめでとうございます。
総括: みんな3月に入った途端に新曲出しすぎだよ (前回の続き)
3月第2週も楽しいタイポップス・ウィークでした!
PERSES は T-POP をさらに進化させ、Paintbrush もまた新たな境地を開拓し、Billkin、4EVE、Newery は私たちの心をしっとりと満たしてくれました。お気に入りの曲はありましたか?コメント欄で教えてくれると嬉しいです。
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ということで、今回も最後までお読みいただきありがとうございました!
今後も引き続き、ホットな T-POP・タイポップス情報をトムヤム視点でお届けしていきます。
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年度の終わりが近づいてきました。皆さま何かと慌ただしいのではないかとお察しいたします。
どうか、お体にお気をつけてお過ごしくださいませ (*^^*)