直近一週間で気になったタイポップ / T-POP を紹介するコーナー。10回目です。
前回の記事はこちら。
【目次】
- 1. DVI - Sugar
- 2. PRETZELLE - ไม่รับความเห็นต่าง (U R MINE)
- 3. TIGGER - R U OK?
- 4. YOUNGOHM ft. SONOFO - ธาตุทองซาวด์
- 5. เรนิษรา - ผู้ถูกเลือกให้ผิดหวัง (Sad Flower)
- 10回目になりました！
1. DVI - Sugar
曲 名：Sugar
歌手名：DVI
発表日：2023年1月30日
タイのボーイズグループ戦国時代に新たなグループが殴り込み！その名も「DVI」。
DVI はタイ人男性6人からなるダンス＆ボーカルグループ。所属事務所は 4NOLOGUE で、6人中5人がサバイバルオーディション番組・LAZ iCON 出身です (番組の上位6名は LAZ1 としてデビュー)。
楽曲『Sugar』はというと……いいんじゃないの！？
ほぼ全編英語詞で、アクセント程度に使われているタイ語がおしゃれ。
すっきりと洗練されたAメロから続く、南国の香り漂う独特な響きのBメロ。そして、サビでは耳に残るキャッチーなフレーズがお出迎え。ここ3年のボーイズグループのデビュー曲の中では、最高レベルに K-POP 感強い！時代追いついてきてるぅ！
制作陣が気になりクレジットを読んでいたところ、次の一文が。
PRODUCED BY : TONY OH
THAI PRODUCED BY : ACHARIYA DULYAPAIBOON
プロデューサーがタイとそれ以外で2人いる？
ということで調べてみたところ、TONY OH 氏のプロフィールを発見。
TONY OH 氏は韓国のミュージシャンで、1990~2000年代にかけて BoA や神話といったSMエンターテインメントのアーティストを中心にアルバムプロデュースを担当。
最近では Exo、Twice、Red Velvet、Shinee、少女時代、GOD 7、Monsta X といった名だたる K-POP アイドルの楽曲制作に関わっているそうです。総勢30名以上が所属する作曲家事務所の社長でもあり*1、K-POP界の重鎮と言っても過言ではなさそう。
そんな TONY OH 氏をプロデューサーに迎えて生まれたのが、この楽曲『Sugar』というわけですね。なるほど、韓国感強めだった理由は、韓国のプロデューサーを迎えたからだったんですねぇ。
そもそも K-POP が質の高い楽曲をなぜ制作できるかというと、実力のある韓国のコンポーザーが、さらなる視点やアイデアを求めて海外のコンポーザーと合作することが理由の一つに挙げられます。HYBE や SM のアーティストのクレジットを見ると一目瞭然です。
T-POP 界でも、海外 (韓国) のやり方を取り入れる時代が到来。
その成長スピードがさらに加速する予感がしています。
2. PRETZELLE - ไม่รับความเห็นต่าง (U R MINE)
曲 名：ไม่รับความเห็นต่าง (U R MINE)
読み方：まぃらｯpくわーmへんたーん
邦 訳：異論は認めない (あなたは私のもの)
歌手名：PRETZELLE
発表日：2023/01/26
T-POP つながりで。こちらもつい先日発表された、PRETZELLE の4枚目のデジタルシングル。
イントロ聴いた瞬間に R○d Velvet の『Psycho』を想起してしまったのも束の間、12秒目で放った一言「My Boo!」で完全にタイポップへと衣替え。これをパクリというのは野暮ですね。インスピレーションを受けただけです。ここまで瞬時にタイ感が出せるのはなんでだろう。日本人の耳にはタイ語が早口に聴こえるからでしょうか。
3. TIGGER - R U OK?
曲 名：R U OK?
読み方：あーゆーおーけー
歌手名：TIGGER
発表日：2022年2月1日
PERSES が所属する GMM Grammy の傘下のレーベル・GNEST から新たなアーティストがデビュー。その名は「TIGGER」(タイ語表記: ทิกเกอร์ / ティッガー)。
2005年2月生まれの17歳、間もなく18歳ですね。若い！
子役としての活動からブランクが空いたのち、Chimon や Lee Thanat らが出演した映画『Happy Ending』(2022) で芸能活動を再開。そして、今作から音楽活動をスタートする流れとなりました。
自己紹介動画では、語学に楽器にダンスに……と、多彩な姿を披露してくれています。
シンプルな楽器構成から繰り出される穏やかなメロディーは、1日のはじまりにぴったり。窓から入る朝日とこの曲と一緒に目覚めたいカントリー R&B ポップになっています。とても愛らしい。
GNEST の話
PERSES の後輩にあたる TIGGER。すなわち、彼も GMM の練習生組織・GMM Academy に所属していたのかな？と気になり、公式が発表している顔写真一覧を見たのですが、私の目では見つけられませんでした。もし所属経験があるようでしたら、ひっそりと教えて下さい。
仮に GMM Academy に所属していなかったとすると、GNEST は練習生だけのためのレーベルというわけではないのですね。トレンド志向の若手アーティストのためのレーベルなのでしょう。GNEST から今後デビューするアーティストについても楽しみです。
4. YOUNGOHM ft. SONOFO - ธาตุทองซาวด์
曲 名：ธาตุทองซาวด์
読み方：ターットーンサーゥ
邦 訳：金色のサウンド
歌手名：YOUNGOHM
発表日：2023年1月25日
タイの国民的ラッパー・YOUNGOHM (ヤングオウム) がニューアルバムを発売。そのタイトルにもなっているリード曲『ธาตุทองซาวด์』(ターットーンサーゥ / 金色のサウンド) を紹介させてください。この曲、本当に格好いいんです！
2016年頃から本格的に音楽活動を始めた YOUNGOHM ですが、人柄がじかに表れたリリックと、彼ならではのユニークで質の高い音楽が魅力のラッパー・コンポーザーです。
タイの伝統的音楽とヒップホップを融合させただけでなく、その優れたコンポーズ能力でタイ音楽の幅を一段上のレベルまで引き上げたことが、彼がタイで人気たらしめる理由の一つだと感じます。
そして、今回の楽曲『ธาตุทองซาวด์』。普段に増してタイの色を強く感じます。
四つ打ちで鳴り響く打楽器・トーンの音色、ルークトゥンに特徴的な変調で繰り出されるトラック。
彼のアイデンティティやタイ人としての矜持、多様性を尊重する政治的立場などが息つく暇もなく畳み掛けられます。ほぼ休む事なくリリックが散りばめられた4分間からはまさしく、金色の輝きを感じました。
筆者が好きなのはこの部分。
ชีวิตแม่งต้องผสมผสาน
ปะปนมีทั้งขมทั้งหวาน
มึงอย่ารอให้ใครมาสงมาสาร
จะสนวิญาณหรือจะสนสังขาน
หรือว่าจะทำให้มันเป็นคู่ขนาน
人生は混ざり合わなければならない
苦みと甘みが混ざり合った
誰かがあなたを憐れんでくれるのを待っていない
自分の魂を気にかける？それとも彼を気にかける？
またはそれを平行にする？
※追記 (23/2/22)
YouTube の「世界で人気のミュージックビデオ トップ100」ランキングにて44位にランクイン中。JOOX や Spotify でもトップ5入りしています。
※追記 (23/4/22)
3月下旬からタイの北部・東北部・中部を巡る旅に1ヶ月ほど行っていたのですが、この曲はどこにいても1日1回レベルで耳にしました。DJが流してた際もタイ人全員合唱してた。マジで流行ってるっぽいです。
5. เรนิษรา - ผู้ถูกเลือกให้ผิดหวัง (Sad Flower)
曲 名：ผู้ถูกเลือกให้ผิดหวัง (Sad Flower)
読み方：ぷーとぅーkるあっkはぃぴっtわん
邦 訳：失望を選ばれた人
歌手名：เรนิษรา (Reinizra)
発表日：2022年11月4日
เรนิษรา (レイニサラー) は、2021年11月から活動するタイの2ピースデュオ。優しい歌声と、ポップやロック、ソウルなど様々なジャンルを横断的に自分のものにしてしまう独自の世界観が魅力的です。
そんな彼らの9枚目のシングルが『ผู้ถูกเลือกให้ผิดหวัง (Sad Flower)』。
発売から2ヶ月ほど経った2023年1月上旬に猛烈な人気を獲得。
『Blood Type B』が大人気の Chrrissa Chotijirasathit、韓国の NewJeans らを抑え、Spotify の Thailand TOP50 チャートで堂々の1位を獲得。YouTube の世界で人気のミュージックビデオランキング TOP100 にも食い込む勢いを見せています。
この曲、ずばり「歌詞」が素敵だなと思います。(ざっくりですが Google 翻訳)
愛した人。失ってしまった人。失恋。残ったのは、心が壊れて傷ついた自分――。
でも、心の中の花 (思い出) だけは色褪せないという歌詞が、清濁併せ呑みながら人生を生き抜く私たちの心の闇をスッと浄化してくれるような気がします。
話は代わりますが、タイのチャート上位には定期的に、このような楽曲がたびたび上位に食い込みます。その要因は、新しいコード進行とか新しい音色とか、"音楽的に新しい何か" というよりは、アーティスト独特の視点から描かれる美しい歌詞が理由であることが多いと思うのですが、皆さんはいかが思われますか？
例えば、韓国は音楽的な新しさや実力が、日本はボーカリストが、アメリカはダンサブルなグルーヴが重要視されますが、
タイで定期的に大衆人気を獲得するのは、歌詞が美しい曲だな、と思うのです。
ということで、タイで売れたい皆さまに置かれましては歌詞重視、それも切なくも救われるエモ美しい歌詞でいくといいの、かも。(誰向け？)
10回目になりました！
昨年末頃から始めた「今週のタイポップ」も、おかげさまで10回目を迎えることができました。いつも支えていただき、ありがとうございます！
こんな辺境(偏狂?)でニッチな性癖の人間が送るブログを読んでいただいて、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。いつもでも、たまにでも読んで下さるあなたがいるから書き続けることができています。ありがとうございます。
たったの10回ではありますが、各回とも、筆者なりに厳選した楽曲や種々のリサーチ、サムネイル作成などしているため、何だかんだ思い入れがあります。
1年は52週あるので、このペースでいけば今年中に50回目を迎えられる予定。どこかのタイミングで何かしらできたらなぁと思っています (←何も言っていないに等しいですが)。
ちなみに、紹介したい楽曲が2曲すでにあるため、すでに来週の5枠中2枠は予約済み。枠が足りない……。これ以上いい曲増えないで！(嬉しい悲鳴)
＊
ということで、今回も最後までお読みいただきありがとうございました！
今後も引き続き、ホットな T-POP・タイポップス情報をトムヤム視点でお届けしていきます。
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